CT(Computed Tomography/コンピューター断層撮影法)とは、X線を利用して身体の中の輪切りの画像を得る検査です。
例えば、超音波検査でお腹の中にしこりが見つかった場合、今まではレントゲンと超音波検査をした時点で大きな異常がなければ開腹手術へと進み、しこりを摘出し、病理検査に出して悪性か良性かなどの判断を行っていました。なかには、摘出したにもかかわらず悪性で実はすでに小さい病変の転移があり、術後すぐに亡くなってしまう事もありました。もし手術前にCTを撮り、転移している事がわかっていたら、お腹を開けて痛い思いをしなくても済んだのでは?と思う事もありました。
事前にCTを撮る事で小さな転移病変を把握したり、腫瘍によっては悪性度の高いものであると判断する事ができる場合があります。そうすることで、手術を行わないという選択肢を取る事もできます。
それ以外にもCTを撮る事で、手術に臨む前の計画を立てる事ができます。どのような血管走行なのか、どこの組織と隣接しているのかなど立体的に見る事ができるという点で手術に向けてのイメージ作りも行いやすくなります。
このようにCTを利用することで診断や治療への新たな一手を得ることができます。
MRI(磁気共鳴画像)は、磁場と無線周波数を使用して、ペットの体内の詳細な断面画像を生成する画像診断技術です。CTとは異なり、放射線を使わずに撮影を行います。なお、麻酔科で検査は行います。
急なけいれん、歩き方がおかしい、痛がるなどの愛犬愛猫の不調は心配かと思います。MRI検査では磁力や電波の力を利用して、今まで検査が難しかった脳や脊髄など骨に囲まれた神経などを診ることができます。これにより脳腫瘍や脳炎、椎間板へルニアなどの病気の診断が正確にできるようになりました。
当院導入MRI検査機器は、中四国地域では民間の動物病院として初めて導入されるハイスペックな機器です。そのため、従来普及している装置では診断の難しかった脳脊髄病変の検出が可能です。
しかしながら、良い診断装置があっても診断出来なければ意味がありません。当院では診断、治療レベルの向上のため神経病およびMRI読影の世界的権威である日本獣医生命科学大学教授の長谷川大輔先生に診療のアドバイザーに入っていただき 日々診断治療について研鑽を行っています。岡山のこの地で、神経病に苦しむ動物たちが少しでも減るように、スタッフ一同がんばっていきます。
MRIは軟部組織の観察に優れ、脳や脊髄などの神経系の病気に特に適しています。また、放射線を使わないため、繰り返しの検査にも安心して利用できます。ただし、撮影に時間がかかる場合があり、ペットを静かに保持する必要があります。