犬や猫の歩き方がいつもと違う、階段を上がるのを嫌がる、足を引きずる。そんな症状が見られた場合、整形外科的な問題が関係している可能性があります。病気によっては症状が進み治療が難しくなるものもあるため、気になることがあればお気軽にご相談ください。
犬や猫は言葉で痛みを伝えることができないため、飼い主さんが気づくべきサインがあります。以下の症状が見られた場合は、整形外科的な問題が疑われます。
愛犬や愛猫が足を引きずるような動作を見せた場合、骨折や靭帯損傷などの可能性があります。特に散歩や遊びの後に突然足を引きずる場合は、即座に動物病院で診察を受けることが重要です。
関節の部分が腫れていたり、痛がって触らせない場合は、関節炎や脱臼が疑われます。特にシニアのペットには関節炎が多く見られるため、早期発見・早期治療が大切です。
足を引きずることはなくても、歩行が不自然であったり、フラフラしているように見える場合、股関節形成不全や膝蓋骨脱臼などの整形外科疾患が関係しているかもしれません。特に小型犬や大型犬に多い疾患です。
これまで平気だった階段やソファへのジャンプを避けるようになった場合、脊椎や関節に痛みがある可能性があります。椎間板ヘルニアや関節炎が進行すると、こうした動作が困難になることがあります。
特に小型犬に多く見られる膝蓋骨脱臼は、膝のお皿が正常な位置からずれてしまう病気です。歩行時に足をスキップするような動作や、足を浮かせていることが特徴です。進行すると歩行困難になることもあります。
大型犬に多く見られる先天的な疾患で、股関節がうまく形成されず、徐々に痛みが出る病気です。若いうちは症状が軽く、加齢と共に悪化することが多いため、早期の診断と治療が重要です。
椎間板が脊髄を圧迫することで、痛みや麻痺を引き起こす疾患です。特に胴長短足の犬種(ダックスフンドなど)に多く見られます。急に後ろ足が麻痺したり、動けなくなることがありますので、すぐに獣医師の診察を受けることが必要です。
高所からの転落や交通事故などで骨折するケースは珍しくありません。特に外飼いの猫や活発な犬はリスクが高く、明らかな痛みや足を使わない症状が見られる場合は早急な治療が必要です。
シニア犬や猫に多く見られる関節炎は、関節の軟骨がすり減り、炎症や痛みが生じる病気です。ゆっくりと進行するため、初期には気づきにくいことが多いですが、早期発見が大切です。
整形外科の診断には、まず視診や触診が行われますが、より詳しい診断には以下の検査が用いられます。
骨や関節の状態を確認するためにレントゲン撮影が行われます。骨折や脱臼、関節炎の進行度合いを把握するために有効です。
脊椎の状態や椎間板ヘルニアなど、骨だけでなく神経や軟部組織の異常を確認するためには、CTやMRI検査が必要になることがあります。当院には、CT検査機器ならびにMRI検査機器の両方を完備しています。
骨や関節だけでなく、周囲の軟部組織や腱の状態を確認するために超音波検査が行われることもあります。
整形外科の治療方法は、疾患の重症度やペットの年齢、生活環境に応じて選択されます。一般的には以下のような治療法が検討されます。
軽度の症状や、手術が適さない場合は保存療法が行われます。安静やリハビリ、痛み止めの投薬によって症状を和らげることが目的です。
骨折や脱臼、進行した椎間板ヘルニアなどの場合には、外科手術が必要になることがあります。整形外科手術は高度な技術を要しますが、症状の改善や生活の質を向上させるために有効です。
整形外科の治療後や、関節炎などの慢性疾患に対してはリハビリテーションが非常に重要です。犬や猫は人間と異なり詳細なコミュニケーションを取ることができないため、動物たちの本能に合った専門的なトレーニングが必要です。
愛犬や愛猫が痛みや不調を感じている場合、飼い主さんがいち早く気づいてあげることが大切です。整形外科的な問題は早期発見と治療が鍵ですので、少しでも「いつもと違う」と感じたら、ぜひ動物病院での診察を受けてください。当院では最新の設備と高度な技術で、ペットの健康をサポートしています。ご心配なことがあれば、お気軽にご相談ください。