だて動物病院

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病気の話
第4回目
猫の腎不全 ~猫の宿命編~
猫と腎臓について
猫の原産は、砂漠や高山などの水が少ない場所です。
そのため、猫は少ない飲み水の量で効率良く生活をおくれるよう腎臓の機能が強い生き物です。(体内で水を有効に使うために腎臓での尿の濃縮率が高く、濃い尿をする)
しかし、猫の腎臓にはよく働き過ぎるあまり、その代償として、年をとるとともに大きな負担がかかってしまいます。このため、ほとんどの猫は年をとると腎臓機能が低下してしまいます。 さらに腎臓は一度壊れると再生できない臓器です。
猫(室内猫)の寿命は現在、平均で15歳といわれています。20歳を超える猫もめずらしくなくなっています。今回の病気の話は、高齢猫の宿命ともいえる腎不全についてお話していきます。
年老いた猫が、終生“ はつらつと” 過ごせるよう、腎不全の早期診断や治療・管理について説明させていただきます。
腎臓の機能について
まずは、腎臓の機能について簡単に説明していきます。腎臓は
  • 水分の再吸収
  • 老廃物の排泄
  • ミネラルバランスの調節
  • ホルモンの分泌
などをおこなっている臓器です。 腎不全におちいると1~ 4までの働きが不十分になります。
どんな症状がみられるようになるのか?
腎不全の症状
多飲多尿
まず初めに現れるのは、尿量の増加です。これは腎臓での水分の再吸収が不十分になるためで、 これに伴い、飲み水の量が増えます。匂いの少ないうすい尿が出るようになります。
脱 水
腎不全が進行すると、尿量はさらに増えてしまい、自力の飲水だけでは体の水分が補えなくなります。 この状態を脱水状態といいます。→ 体がだるくなり、活力が落ちてきます。
尿毒症
脱水状態の進行とともに現れるのが、尿毒症です。これは腎臓から排泄できなくなった老廃物の蓄積により起こり、脱水の進行も相まって徐々に悪化していきます。 → 気持ち悪くなって食欲が落ちたり、嘔吐の頻度が増えたりします。
貧 血
腎臓で作られる造血ホルモンの欠乏に伴い現れます。→ 元気がなくふらふらしたり、食欲の低下を引き起こします。
高血圧
腎機能が低下することで、老廃物が体外に捨てづらくなってしまいます。そこで、腎臓は、血圧を上げることで腎臓に流れる血液を増加させ、がんばって老廃物をこしだそうとします。腎臓で昇圧ホルモンが分泌されることで、腎臓への血流を上げ、その結果全身性の高血圧がみられるようになります。→さらに腎臓への負担が増えてしまい、腎臓の寿命が短くなってしまいます。
診断
尿検査
早期診断が可能です!
尿検査では、腎臓での尿濃縮力を確認したり、尿タンパク有無の確認を行うことで腎臓の機能低下を早期に発見することができます。7歳を過ぎるころから年一回の尿検査を受け、出来る限り早い段階で腎不全を検出することが重要です。
血液検査
血液中のBUN(血中尿素窒素)、クレアチニンを測定することで、腎障害および尿毒症の程度を確認することができます。その他に、貧血の有無、血液中のリンやカルシウム、カリウムなどのミネラルバランスを確認することでより細かい病態の評価が可能です。
治療と管理
治療の最大の目標
いかに残された腎臓を壊さず、大事に長く使っていくか!です。
腎臓は一度壊れると再生できない臓器です。
食事療法
食事中に含まれるタンパク質やリンは腎臓に負担を与えます。腎臓処方食はこれら成分の調節が行われており、初期の腎不全から食事を切り替えることは最も良い腎不全の管理といえます。
飲水量を増やす
猫に水を積極的に飲ませるのは容易なことではありませんが、水飲み場を増やしたり、常に新鮮な水を用意してあげたりすることで猫の飲水欲を刺激することができます。なかなか飲水量が上がらない猫の場合、スポイトなどで直接飲ませる方法もあります。
吸着剤
食事中の毒素を吸着するお薬です。間接的に腎臓の負担を軽減させます。腎臓処方食を食べてくれない子には非常に有効です。腎臓食との併用も可能です。
ACE 阻害薬(降圧剤)
症状5でお話しした高血圧に対するお薬です。腎不全初期から投与を行うことで、数年単位での寿命延長が期待できます。
点滴
経口的には投与が難しい水分量を注射で補うことで、脱水改善や尿毒症をやわらげることが可能です。血管点滴、皮下点滴の二種類の方法を状況に応じて選択します。症状がひどく入院治療を行う場合は、血管点滴を、通院での管理には、皮下注射を用います。点滴治療は、即効性があり非常に有効です。
造血ホルモンの投与
腎不全の症状に貧血が加わってしまうと、猫は急速に衰弱してしまいます。貧血状態も血液検査にて定期的に確認することで、貧血の症状が出る前に造血ホルモンの投与が行え、治療が可能です。1クール2〜3回の投与で2〜3か月の効果が期待できます。
治療の方法は、その子その子の性格や、習慣に応じて検討する必要があります。
まとめ
最後に、腎不全は、長生きする猫にとって“ きってもきりはなせない病気” です。
早期診断、正しい 知識をもっての日常管理が行えれば、猫にとって、快適な生活が終生送れると考えます。 特に猫は、症状を隠すのがうまい生き物です。定期的な健康診断にて隠れた異常を早期に発見することが、猫の長生きと健康に最も大事なことです。
不明な点や、心配な症状がございましたら、お気軽に病院にご相談ください。