岡山県総社市 だて動物病院 犬猫診療 トリミング

第2回
ワンちゃんの歯周病

ワンちゃんの高齢化に伴い、様々な病気が増えているなかでワンちゃんの歯周病も深刻な病気のひとつになってきています。

ワンちゃんもヒトの口の中と同様、歯肉炎や虫歯などのトラブルを起こします。
ヒトと違う点は、ワンちゃんは小さい頃から習慣づけないと歯磨き等の日常管理が困難な点です。そのため、口の中とりわけ歯の汚れは年齢を増すごと深刻なものになってしまいます。
歯周病を患っているワンちゃんでは特に、口の中を触られるのを嫌がり、飼い主様の日々の観察も困難なケースが多く、これも歯周病がかなり進行してしまう原因のひとつといえます。

歯周病の進行は、口の中にひどい感染症を起こしたり、雑菌が歯肉を介して全身の臓器に広がり、肝臓や腎臓の機能が弱ることで、寿命の短縮を引き起こしたりします。

症状・病態
図解
Key point:
歯肉炎・歯周炎・根尖膿瘍・口腔細菌の全身臓器への悪影響

初期症状として多いのは口臭(歯垢の付着が原因)です。 これは、唾液中の糖タンパクが歯に付着し、そこに食べかす、口腔内雑菌が付着、増殖することで発せられます。 これを放置することで、歯の周囲には、多量の歯垢が付着してしまい、 そこに唾液や食べ物に含まれるカルシウムなどのミネラル分が付着することで歯石が形成されます。

この状況が長く続くことで、次にダメージを受けるのは歯肉です。 歯垢、歯石が原因で起こる歯肉炎(歯肉が赤く腫れ上がる)がこれにあてはまります。 歯肉炎が進行することで、炎症は歯根周囲にまで広がり、歯周炎を引き起こします。

歯周炎まで症状が進行すると、歯磨きなどの日常管理では治療が不可能になってしまいます。 さらに症状が進行すると、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けてしまったり、 歯肉部分が垂れ下がり(歯肉の後退)、 土台が不安定になった歯は動揺を始めます。 最終的に歯槽骨や歯肉は歯を支えきれなくなり、歯は抜け落ちてしまいます。

ワンちゃんは歯が抜け落ちることで、極端に食欲が落ちたりはせず、逆に抜け落ちた歯に付着した多量の雑菌が無くなるため、歯周病の症状は軽減します。しかしながら、ワンちゃんで最も問題となるのは、グラグラの歯石まみれの歯が抜けきらずにその場に残ってしまい、その歯の根で起こる感染症です。これを根尖膿瘍といいます。特に奥歯で起こることが多く、重症化すると歯のつけ根の部分から、眼の下の皮膚に穴が開いてしまうことがあり(←上顎臼歯の場合)、放置すると化膿が広範に広がり、非常に危険です。

重度の歯肉炎・歯周炎、根尖膿瘍は、口の中の違和感や、痛みを出します。これに伴い、ワンちゃんの食欲や元気は、著しく低下してしまいます。

多量の歯石が付着するような状態では、口腔内の雑菌が異常に増殖しています。この雑菌は常に歯肉を介して全身臓器に広がっており、肝臓や腎臓、心臓等に悪影響を与えます。この全身臓器への悪影響が、免疫力の低下した高齢動物には最も深刻な問題となります。さらに、腎臓病や心臓病、肝臓病を抱えているワンちゃんでは、その病気を進行させる危険性もあり、結果として寿命の短縮を引き起こします。

治療
1. 超音波スケーリング、ポリッシング

歯肉炎、歯石の付着がみられる場合に行います。
超音波の振動に怖がったり、口の痛みを抱えている子がほとんどのため、この処置には全身麻酔が必要になります。
歯石除去の後、歯垢・歯石の再付着を防止するため、専用の薬剤を研磨機で塗りこみます。

<使用する機械>
<症例1>歯肉炎軽度、歯石中程度付着、口臭あり

比較的早い段階での処置ができたため、歯は本来の白さを取り戻し、口臭も全く無くなりました。

<症例2>歯肉炎中程度、歯石中~重度付着、口臭あり

処置後、歯肉の炎症もおさまり、口臭もなくなりました。

<症例3>歯肉炎・歯周炎重度、歯石重度

上顎臼歯に関しては、歯周炎から根尖膿瘍を起こす一歩手前の状態だったため、抜歯を行いました(黄色丸枠内)。 このワンちゃんは元気がないとの主訴で来院されました。抜歯、歯石除去の後、いつもの元気を取り戻しました。

抜歯を行った部分は1週間程度でふさがり、完治しました。

<症例4>重度歯周炎から根尖膿瘍を発症した症例

重度歯周炎から根尖膿瘍を発症した症例です。顔の右側が腫れており、元気・食欲の低下がみられました。根尖膿瘍を起こしている歯を抜歯、根尖部に溜まった膿を排出、洗浄を行った後、抗菌薬の注入を行い、処置後は、2週間抗菌薬の内服を行いました。
処置後、すぐに顔の腫れはおさまり、元気、食欲が戻りました。

〇部分:
根尖膿瘍を起こした歯を示します。歯肉はぐずぐずの状態で、かなりの疼痛がみられました。

〇部分:
根尖膿瘍を起こした歯を抜いた部分に大きな穴が開いており、その部分(眼下)に多量の膿が貯まっていました。この写真は、専用の洗浄管にて洗浄を行っているところです。

2. ハンドスケール

歯肉炎、歯石の付着が軽度で、口の中を触るのを嫌がらないワンちゃんで実施します。
麻酔は使用しません。比較的短時間で終えることができるため、健診やワクチン接種時に、同時に行うことが可能です。

<使用する器具>
<予防>

歯周病で最も大事なのは予防です。日々の予防を行うことで、
年齢を重ねても健康な歯を維持できます。

1. 歯磨き

最も歯周病の予防効果が高いとされています。しかし、子犬のうちから少しずつ始め、習慣づける必要があります。 成犬からでは、口の中を触られるのを嫌がりなかなかうまくいかないことが多いです。
※歯磨きの仕方につては、「ケアのはなし」で説明していますので、ご参照ください。

2. 歯磨きガム

市販、動物病院専用のものまで様々な種類があります。歯磨きの難しいワンちゃんでは、こちらがすすめられます。 材形(非常に硬い材質のもの)によっては、逆に歯を痛める可能性もあるので、 使用に関してご心配な場合は、現在使われているガムを病院にご持参ください。

3. 乳酸菌製剤(サプリメント)

歯周病の原因となる口腔内の悪玉菌の増殖を抑える、サプリメント製剤です。
口腔内も胃腸内と同様に悪玉菌、善玉菌が存在します。悪玉菌が増えることで歯周病が悪化したり、 口臭がひどくなったりします。このサプリメントは、悪玉菌の増殖を抑える善玉菌を含んでおり、 日々投与することで、歯周病、口臭の予防が可能です。

トップ上部に飛ぶ
だて動物病院は岡山県総社市にある動物病院です。動物にやさしい診療・手術をモットーに、安心と健康を守るお手伝いをしています。だて動物病院ではトリミングもおこなっています。だて動物病院はホーム動物病院グループの動物病院です。(グループ代表 : 伊達成寿 / グループ病院 : まび動物病院 )
ホーム動物病院グループ だて動物病院 〒719-1155 岡山県総社市小寺530-6 TEL 0866-90-0567