岡山県総社市 だて動物病院 犬猫診療 トリミング
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第1回
女の子に多い病気、男の子に多い病気 〜ワンちゃん編〜

女の子に多い病気  子宮蓄膿症 | 乳腺腫瘍 | ソ径ヘルニア
男の子に多い病気  前立腺疾患 | 肛門周囲腺腫 | 会陰ヘルニア
まとめ       まとめ | 避妊、去勢のデメリット
子宮蓄膿症
女の子に多い病気
外陰部からの細菌(ほとんどが便に含まれる大腸菌)の
侵入によって、子宮に感染が起こり、
膿が多量に溜まってしまう病気です。
放置してしまうと、細菌が全身にまわり、
最悪の場合死に至ってしまう怖い病気です。
子宮内に膿が溜まり、
通常の10倍以上に腫大した子宮の外観
Qどんな子がなるの?

5歳以上の中高齢の子で発生が多いです。
発情出血後、約1か月前後での発症が最も多いです。

Qどんな症状が出るの?

多飲多尿(たくさんおしっこをして、たくさん水を飲むようになる)
元気、食欲の低下。外陰部から血膿が出てくる。
などが代表的な症状ですが、発情後一カ月での体調の変化は、どんなささいな事でも注意が必要です。

予防法
避妊手術を行ってあげるのが、最大の予防法になります。
治療法
外科的に卵巣子宮全摘出を行うことが望まれます。
内科的な治療も不可能ではありませんが、
再発のリスク、治療の副作用等の問題が大きいです。
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乳腺腫瘍
女の子に多い病気
避妊手術を行っていないワンちゃんでは、発情の度、女性ホルモンが乳腺組織に作用することで、乳腺組織の腫瘍化のリスクが増加します。
腫瘍には、良性悪性がありますが、その発生頻度は、約1対1といわれています。
悪性の場合、最も怖いのは転移です。ヒトと同様、動物でも肺への転移は一般的にみられます。良性の場合、転移は起こしませんが、じわじわと大きくなったり、化膿を起こすことがあります。
Qどんな子がなるの?

子宮蓄膿症同様、中高齢(5歳以上)での発症が多いです。
犬種による発生差は特になく、どんな犬種の子でも発生します。

予防法

若いうちでの避妊手術。
具体的には、二回目の発情までに避妊手術を行うことで、発生率が下がるという報告もあります。しかし、発育途中でのあまりにも早期の避妊手術は、健康な発育を妨げる可能性があります。もし、早期避妊手術を考えられる場合は一度、病院に相談してください。

治療法
外科的切除。
避妊手術を行っていない場合は、同時に避妊手術も行うことで、再発のリスクを抑えられます。
矢印の部分、乳頭の脇にしこりがあります。これは、良性の腫瘍でしたが、小さいからといって悪性を否定することはできません。乳腺腫瘍は飼い主様による早期発見が可能な腫瘍です。愛犬のお腹、特に乳頭の周りはよく触ってあげてください。
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ソ径ヘルニア
女の子に多い病気
この病気は、後肢のつけ根にある、ソ径管※と呼ばれる穴から、通常では突出しない、お腹の中の脂肪組織や、小腸、子宮、膀胱などが飛び出てしまう病気です。
※ソ径管:通常、外陰部動静脈・陰部大腿神経を通している管。
Qどんな子がなるの?

避妊手術をしていない中齢の女の子、あるいは二歳までの若い男の子にも多い病気です。

Qどんな症状が出るの?

突出物が脂肪組織のみであれば、通常症状は見られず、足のつけ根付近がはれているようにみえます。ただ、突出物が小腸の場合は、消化器症状(食欲不振、嘔吐など)、膀胱の場合は、排尿障害(尿の回数が増えたり、減ったりする)、子宮の場合は痛みが出たりします。

治療法
外科的手術:突出物をお腹の中に戻し、拡大したソ径管を縫い縮めます。片側のみの突出の場合、もう片方の発症を予防する意味で、同時に避妊手術を行うことも望まれます。 写真は、黄色丸印で囲った部分にヘルニアを生じています。 この子の場合、突出物は腹腔内脂肪のみで症状は無かったのですが、飼い主様が足つけ根の腫脹に気づかれ来院されました。 ソ径ヘルニアも飼い主様が気づける病気の一つなので、乳腺同様、日頃から足のつけ根もよく触ってあげてください。
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前立腺疾患(前立腺肥大、前立腺炎)
男の子に多い病気
ヒト同様、ワンちゃんも年齢を重ねると、精巣から出る男性ホルモンの作用により、前立腺が肥大してきます。前立腺肥大により、ワンちゃんでは、排便障害(便が出しづらくなる)が出ることがあります。また、感染を起こすことで、前立腺内に膿だまりを作ったり、炎症を起こすと痛みを訴えることがあります。
予防・治療法
去勢手術
去勢手術をすることで、前立腺疾患の予防・治療を行うことができます。
前立腺肥大に対しては、ホルモン剤による内科的治療も可能で、全身麻酔が難しい状況のワンちゃんには、この薬物療法が選択されることもあります。
◎病院でよくみられる前立腺疾患の問題
横方向からみた、ワンちゃんの膀胱・前立腺の位置関係を示します。
図で示すように、前立腺は膀胱のすぐ隣に位置しています。 さらに、膀胱と前立腺は、射精管と呼ばれる管を通じて常に連絡しています。 去勢を行っていない中高齢のワンちゃんが細菌性の膀胱炎を発症すると、この雑菌が前立腺に移動して前立腺炎を併発することがあります。(肥大をおこした前立腺は感染に弱いため。)
→ここで問題となるのは、前立腺に効果を出す抗菌薬が限られていること、治療に選択できる抗菌薬の種類が少ないことです。さらに抗菌薬の効果が不十分であったり、選択する抗菌薬を誤れば、前立腺の感染は治癒困難なものになってしまい、しつこい感染を繰り返してしまいます。
こういったケースでは、膀胱・前立腺炎予防のためにも、積極的に去勢手術を行うことが望まれます。
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肛門周囲腺腫
男の子に多い病気
男性ホルモンの影響で、肛門周囲にしこりができる病気です。
多くは良性のものですが、じわじわと大きくなることで、おしりを気にしてこすりつけるようになったりします。また、肛門に近いため不衛生になりやすく、化膿したり、出血を起こしたり、痛がったりします。
治療法
外科的切除
肛門周囲は、炎症を起こしやすいデリケートな部分です。
そのため、切除手術には組織への負担の少ないCO2レーザー等を用いることが望まれます。また、手術後の別部位での再発を防ぐため、同時に去勢手術を行うことが大事です。
矢印の部分が肛門周囲腺腫です。
このしこりは、化膿を起こす一歩手前でしたが、完全切除が可能で、術後の経過も極めて良好でした。
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会陰(えいん)ヘルニア
男の子に多い病気
肛門の脇の筋肉に隙間が出来てしまい、そこから、大腸や膀胱が飛び出してしまう病気です。様々な原因によって発症するといわれていますが、その中でも去勢していない男の子のワンちゃんに多く、男性ホルモンの作用が発症の引き金の一つと考えられています。
Qどんな症状が出るの?

症状のほとんどが、排便時の力みです。排便時に力んでも便が出ず、肛門の脇が腫れます。便の排泄が不十分な状況が続くと、食欲不振や嘔吐などの症状がみられるようになります。

治療法
外科的手術
ほとんどの場合、肛門の脇に出来たヘルニア孔(筋肉の隙間)を閉鎖することで症状の改善がみられます。
肛門右側に会陰ヘルニアを生じた男の子のワンちゃんの外貌です。黄色枠内のぼこっと腫れた部分が病変です。
この子はヘルニア孔の閉鎖手術によって完治しました。
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まとめ
  • 性別によって多い病気のほとんどは、日々のスキンシップや元気・食欲等の一般状態の観察で、飼い主様にも発見が可能なものが多いです。
  • 避妊、去勢手術は、今回紹介した6つの病気すべてを予防する効果があります
避妊、去勢のデメリット
  • 肥満
    避妊、去勢を行った子の多くで術後に体重の増加がみられます。これは、運動量の低下や種々の原因によるものです。肥満によって、糖尿病やホルモン疾患などのリスクが上昇します。しかし、食事量、食事の種類を調節することで、肥満は未然に防ぐことが可能です。
    具体的に、食事量はその子その子によって多少差異はありますが、手術前に与えていた量から2~3割減らすことで体重コントロールが可能です。また、避妊・去勢後に食事量減が難しい場合は、専用のフードへ変更することで管理がうまくいく場合があります。
  • 筋力低下
    特に男の子では、男性ホルモンの分泌低下により、筋力の低下が起こります。注意が必要なのは、トイプードルなどの小型犬です。これらの犬種は、先天的に関節が弱い子が多いため、去勢手術により、肥満・筋力低下が起こることで関節疾患を発症してしまうことがあります。
※避妊、去勢を行う前に各々のメリット、デメリットを天秤にかけ、手術を行うべきかどうか判断します。手術を迷われている飼い主様は一度ご相談ください。
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